【どう変わったの?】「改正空き家等対策特別措置法」のポイントを解説 Vol.2

年々増加し深刻化が増している空き家。2014年11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、「空き家特措法」)が成立しましたが、これだけでは収束できない状態で、2030年には空き家は470万戸にのぼると言われています。

これを受け、2023年3月3日に「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。これによってどの部分がどのように変わったのか見ていきましょう。

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「改正空き家等対策特別措置法」について解説!

今回の改正でポイントになるのは次の5つです。それぞれ解説していきます。

その1:対象カテゴリの新設

これまで「空き家特措法」の対象は「空き家」「特定空き家」でした。しかし、今回の改正によって、この二つの中間となる「管理不全空き家」というカテゴリが生まれました。

これは、現状はひどく悪化していないもののが、今後放置すれば「特定空き家」となり得る空き家を指します。これまで「特定空き家」になるまでは行政による改善の指導・勧告がしずらい状態でしたが、新たにカテゴリを設けたことで行えるようになります。

その2:管理不全空き家の固定資産税は減免解除

行政から勧告を受けた「管理不全空き家」は、固定生産税が1/6に減額される住宅用地特例が解除されます。目的は家の放置を防ぐことです。

これまでは、親が住んでいた家を相続で引き継いたものの、空き家となっている状況で、相続人(子どもなど)がその土地を保有しながら減税措置を受け続けていました。その結果、家を放置するケースが散見されていました。

このような「放置された空き家」が、「特定空き家」となってしまうのです。そこで今回の改正では、住宅の状態が悪化する前から措置を厳格化し、「空き家管理の確保を」図っています。周辺住民の住環境を維持するために改正されました。

その3:所有者の責務を強化

所有者に対する努力義務が追加されました。現行法では「適切な管理」に対する努力義務のみですが、新たに「国・自治体の施策に協力する」という努力義務が追加されました。

空き家に係る国や地方自治体の施策に対して、適切に対応することを促しています。

その4:空き家の活用拡大

市区町村が、地域や中心市街地の再生拠点、観光振興地区などの「空き家等活用促進地域」の指定権限を持ちます。そして、同地域の指定や空き家等活用促進指針を定め、建て替えや用途変更を促進できるように、用途規制や接道規制の合理化を図ることができるようになります。

さらに、市区町村長は、区域内の空き家等所有者らに対して、指針に沿った活用の要請が可能になります。加えて、NPOや社団法人などの団体を、空き家等の管理・活用に取り組む「空き家等管理活用支援法人」に指定できるようになります。空き家対策は地域促進につながるため、地方自治体への権限移譲が図られるのです。

その5:「特定空き家」の除却などを円滑化

今回の改正によって、市区町村長は「特定空き家」に関する報告徴収権が与えられます。資料提出などを求めることができ、勧告等が円滑に行われるようになります。

また、除却などの代執行がスムーズに進むように、以下のことができるようになります。

①緊急時(命令等の事前手続を経る時間がないなど)の代執行制度が創設
②緊急代執行・所有者不明時の代執行の費用は、確定判決なしで徴収可能

以上、「改正空き家等特別措置法」についてご紹介しました。

これを機にこれから空き家を活用しようとする動きが活発化することを願うばかりであり、当サイトを運営する(株)イチイでもまちに点在する空き家・空室を高齢者向けにバリアフリー仕様にした賃貸住宅・分散型サ高住の普及に取り組んでいます。

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