現在イチイが進めている「分散型サ高住」は地域コミュニティありきの高齢者向け住まいです。地域に点在する空室物件を高齢者向け仕様にして貸し出すという仕組み上、地域との連携がなければ成立しません。この取り組みは新たな空室対策として物件オーナーにとっては心強いものですが、高齢者にとっても心強いバックアップとなります。
高齢者の賃貸住宅需要は高い!?
2007年、日本は超高齢化社会に突入しました。超高齢化社会とは、65歳以上の高齢者の割合が総人口の21%を占めている社会のこと。2013年には総人口の25%、4人に1人が65歳以上となりましたが、2035年には総人口の33.4%、3人に1人が65歳以上になると予測されています。これを2035年問題といいます。
さらに、2035年には「65歳以上の単身者」が700万人を超えるといわれています。すでに令和元年に、全国の総世帯数の28.7%が高齢者世帯、さらにその49.5%がいわゆる“独居老人」と呼ばれる単独世帯。今後も単身世帯の高齢者は増加をたどり、賃貸住宅の需要も今以上に高まっていくと言われています。事実、戸建を所有していても賃貸住宅に住み替える高齢者は多いです。持ち家の老朽化が進んでもメンテナンスができなかったり、一人で暮らすには持て余してしまい利便性が低下してしまうからです。そのため、賃貸住宅の住み替えを希望する人が多いのです。
需要があるのに断られる住宅確保要配慮者
しかし、高齢者は孤独死・家賃滞納が懸念されるため賃貸住宅に住みたくても断られてしまいます。このような高齢者をはじめ低額所得者・子育て世帯・障がい者・被災者・外国人等の住宅の確保に特に配慮を要する人(住宅確保要配慮者)も安心して暮らせるように設けられたのが「住宅セーフティネット制度」です。同制度は2017年10月にスタート。同制度で施行された理由には社会問題となっている空き家・空室問題のほか、前述した2035年問題があげられます。
社会問題と超高齢化社会をサポートするのが分散型サ高住
高齢者が断られることなく、スムーズに入居を決められる住まいを用意し、かつ空き家・空室を活かす。この2つを体現するのが分散型サ高住なのです。
このことから、分散型サ高住は「住宅セーフティネット制度」の理念を汲んだ住まいと言えます。つまり、分散型サ高住の普及は国か掲げる理想を実現することにつながるのです。