住宅を確保するのが難しく、確保の際には配慮を要する人を住宅確保要配慮者と呼びます。
住宅確保要配慮者と聞いて最初に思い浮かぶのが高齢者や外国人ではないでしょうか。しかし、それだけではありません。シングルマザー(母子家庭)も住宅確保要配慮者に該当し、実際にシングルマザーは賃貸住宅に入居するのが難しいと言われています。
シングルマザーはなぜ住宅確保要配慮者に? 入居審査を交えて解説
なぜシングルマザーは賃貸入居が難しいのでしょうか。ここでは、シングルマザーが入居しずらい理由を入居審査の項目ごとに解説していきます。
審査項目1:年収
貸主の懸念点は賃料の未払い・延滞です。スムーズに支払える収入があるのかどうかが審査基準となります。一般的に「安定して支払える」と判断される目安は、月収が賃料の3倍。これをクリアしていれば審査に通ると考えられます。
しかし、シングルマザーの場合、支払い能力が疑問視されやすいのが現状です。子育てしながら働くため就労時間に限りがあり、収入が低いと考えられるからです。実際に、一般的なファミリー、共働き世帯と比べると収入が低いケースが多いことが疑問視されやすい理由です。賃料を支払える収入があったとしても、収入証明書の提出を求められることは珍しくありません。
審査項目2:職業、勤務先
入居審査では収入だけでなく職業も見られます。理由は年収と同様に安定性です。毎月しっかりと収入を得られる職業かどうかも審査されます。特にシングルマザーの場合、定職かどうか重視される傾向があります。
加えて、勤務先や勤続年数など詳しく聞かれる場合もあります。
審査項目3:保証人の有無
賃貸住宅の入居審査では連帯保証人の有無も重視されます。連帯保証人に求められるのは、やはり安定した収入です。しかし、シングルマザーの場合、親が定年退職していてケースも。該当する場合は保証会社を利用するといいですが、その分のコストはかかります。
シングルマザーが経済力以外で見られるところ
上記以外でも見られるポイントがあります。それが以下の2つです。
1:見た目、人柄
見た目で全てがわかるわけではありませんが、清潔な身なりやきちんとした言葉遣いは不動産会社や賃貸オーナーに良い印象を与えます。人柄は不動産会社や賃貸オーナーにとって非常に重要な要素です。入居者同士でトラブルを起こさないかどうかを確認するために重視されます。
2:子どもの年齢
受け入れがたいですが、シングルマザーの場合、子どもの年齢がネックになってしまってケースもあります。
理由は前述と同様に、入居者同士のトラブル回避のためです。泣き声や走り回る音などが苦情となる可能性があるため、小学校高学年以降であればネックにならないと言われています。しかし、全ての賃貸住宅が該当するわけではありません。
やはりシングルマザーは賃貸入居は難しいのか?
ご紹介したように、シングルマザーは賃貸住宅に入居しずらい事実があります。しかし、シングルマザー全員が入居できないわけではありません。
厚生労働省が発表した「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯の36.7%が賃貸住宅に住んでいます。数字だけ見ると確かに少ないですが、前回調査(平成28年度)の33.1%から微増しています。
微増の後押しに一役買っていると言える一つがシングルマザー向けシェアハウスです。令和3年4月1日から、シングルマザー向けシェアハウスは全国的にセーフティネット住宅への登録が認められるようになりました。シングルマザー向けシェアハウスはシングルマザーを救うだけに留まらず、日本の社会問題を解決に導く一つとして注目を集めています。
Vol.2では、シングルマザー向けシェアハウスと住宅セーフティネット制度について解説します。